瀬野和広＋設計アトリエ|自然と社会が、共に持続的環境形成が育まれる建築とまちづくりをするために。

井戸状間取りの温熱環境づくり

開口一杯、冬の陽ざしは家の奥まで届けたい。都市家づくり事情下、望みは空を見上げるしかない。北側斜線制限一杯の片屋根勾配で、南ハイサイドライトを覆う形にしながら隣家の日影をかわした。その容積は、四方四間大黒持ちモジュールで構成。大黒柱を軸に、都合8畳間８ブロックで暮らし間取りを成立させなければならない。家づくりに熱心な大人の親子４人それぞれの個室を２階３ブロックにまとめながら、貴重なワンブロックを吹き抜けにした。いうまでもなく室内空気環境づくりは、この井戸状吹き抜けが機能的要となる。南面採光はほぼロフト開口部が担う。各階北の地窓は重圧換気を促しロフト窓へと誘う。陽光は冬の熱源として北の壁まで届けよう。気密断熱もパッシブを主体とするためには、調湿する断面づくりも怠れない。吹き抜けがためのエアコンや除湿型放射冷暖設備は、自然の力をパッシブ活用するときの補助器具程度に考えながらの容積間取りを繰り返している。