古勢起屋本館
こせきやほんかん
山形県尾花沢市 銀山温泉
- 敷地面積
- 462.26m²(139.83坪)
- 工事対象床面積
- 711.82m²(215.32坪)
- 工事後床面積
- 716.82m²(216.83坪)
- 構造規模
- 木造軸組構法
地上3階建 - 既存竣工年
- 築109年
(1913年、水害以降) - 改修竣工年
- 2022.04
- 施工
- 市村工務店
まち並みを変えない大改修計画
郷里銀山温泉老舗旅館の改修計画。建て替え含め様々計画案づくりから5年経過。経済至上観念の街並みづくりの中で、当時の風情を変えない、あるいは戻す建築づくりこそ、本来の街並み保存手法の基本と拘った。建物群景観を継承させるための個別責任的意匠計画を軸に、大正浪漫の風情をいかに継承させるかの現代的解釈を課題とした。「何も変えずに大きく変える」がコンセプト。温泉街で2つ目となる登録有形文化財を目指した作業も同時進行するために、専門技師の指導も仰ぐ。築100年越えの建築的歴史を更に次代に継承させるための屋台骨身体検査も念入りに行う中で、過去の改修に次ぐ改修の時期や理由が次第に明らかに。大正初期の改築と昭和初期改築の姿を併せ持つ、その原型を忠実再建したい。要は外部建具。既存は全て取り外され修繕へ。耐震補強兼ね新旧のバランスを計りながらの屋台骨づくり。新規軸材は完全天然乾燥を求め、県産西山杉は外せない。100年来の建築的保存の意義は、本館利用者との交流の中で、歴史的ロマン風情を再び時間とともに醸成されることを期待したい。