作品集

幸泉居 館の前

こうせんきょ たてのまえ

岩手県陸前高田市 伊東・吉田さんのすまい
館の前・西(伊東邸)
敷地面積
1413.23m²(427.50坪)
建築面積
173.67m²(52.53坪)
延床面積
189.62m²(57.36坪)
構造規模
木造軸組構法
地上2階建
館の前・東(吉田邸)
敷地面積
438.21m²(132.55坪)
建築面積
93.57m²(28.30坪)
延床面積
81.98m²(24.79坪)
構造規模
木造軸組構法
平屋
竣工年
2022.03
施工
建築のフジサワ

まちに開く公民家普請

高田気仙川流域はかつての藩境。まちは、あの日の津波で消滅した。10年過ぎてもかつての町並みには程遠く、それでもまちの再建と、人と人のつながりを築こうと懸命に活動している人たちに心打たれる。この家族もそんな新たなまち育て拠点として、この家普請となる。薄眼を開けた釈迦の三つ目は、前後の町の健全を昼夜診続ける滑稽屋根窓仕立てにした。一方、離れ一つ目は、まちに対する愛嬌と見られたら幸甚。大屋根を寄棟にしながらの容積間取りはいたって単純。吹き抜けを持つ大広間が間取りの大半を占める。いうまでもなく「館の前」家館は、公民館的家づくりとして間取りされた。特記は容積を構成する木軸と造作材の話。見渡すまでもなく、裏山は先人たちが後世に残した見事な気仙杉で覆われている。二棟合わせて140㎥余り、原木にして200本程の材を裏山と周辺の山から調達してもらう。因みに乾燥も手前味噌で処理。製材にして約一年、天然乾燥で賄った。こうして裏山気仙杉を纏った館の前に、再び清水のごとく地域交流の幸福の源泉になることを願い、「館の前」に幸泉居の肩書を加えたい。