響笛稽堂
きょうてきけいどう
東京都練馬区
- 工事対象床面積
- 101.39㎡(30.67坪)
- 既存竣工年
- 1926年(昭和元年)
- 改修竣工年
- 2020.11
- 構造規模
- 木造軸組工法
平屋建 - 施工
- 明友建設
響笛に、らそらとんびの舞を観る
当主は能楽一噌流笛方十五代目。昭和元年から稽古場間取として使われ続けた木造家屋の改修普請。証は棟木にしっかりと刻まれている。床壁天井、その表装をはがした屋台骨は、近年基礎を含め今風処理に依る手入れがなされていた。同時に簡易な増築部も、足元からの健康診断から開始、既存間取りを尊重しながらの基礎や木軸の補強を施した。天井廻縁までは極力そのままをテーマに内装復旧しながらも、天井は解放したまま、屋根裏つまり小屋軸組を現しにした。築九十五年とはいえ在来軸組の基本構成、継手や仕口も金物併用前提の加工がなされていた。接合部は抜け落ちなければよいので、新たな金物補強と仕口の深彫り的嵌合を凝固にしながら、強度的担保を図った。座敷間取は、元仏間だけが他2室とずれた位置関係だったので、仏壇押し入れなどを移設しながら、三室座敷間取りを揃えた。今回の計画は、稽古場に聴収を集めながらのイベント座敷化も目論んでいるため、奥の間をフラットなステージに見立てている。地域にも笛の音響き渡る、何とも雅らかな「らそらとんび(希望の光)」を、この響笛稽堂が担っていくことを願ってやまない。